2012/11/27

ドイツのESD実践における地理教育

ESDと教科教育である地理教育の論じ方には、少なくとも2つのアプローチがあると思います。

一つはESDという大きな枠組を使った教育実践の中で、地理教育がどういう位置づけにあるかというESD側からのアプローチ(「ESDにおける地理教育」)。もう一つは、地理教育においてESDの考えや方法を採り入れた、「ESD地理教育」といえます。(仮に)

ドイツの「ESDにおける地理教育」は教科横断的な学習が推進されていますが、その中でも地理は大きな役割を担っているといえます。Transfer21という国家規模のESD推進プロジェクトの成果を見ても、地理は、生物と並んでトップの貢献率といえます。これは、ESDを、既存の地理学習に当てはめて実践したと捉えることができます。このアプローチは、国家や州といった教育行政の側が、地域や学校と連携し、国内のESDの実践と普及を目的として推進している段階にある(あった)といえます。

その一方、ESD地理教育としても、地理教育がESDの考えや方法を採り入れています。具体的に挙げるとシンドロームアプローチやグローバル学習、システム思考などですが、そうした概念や理論が地理教育の中で一つに結実したのが、現代の空間コンセプト・アプローチであるといえます。こちらがわのアプローチは、先のが教育行政側からの推進運動だったのに対して、教科教育の研究側からの展開であるといえます。

ESDは学際性、領域横断性を謳っているのを受け、教科教育も①その教育目的の射程を広げるか、あるいは、②他の教科と組み合わせることが要求されています。こうした要求に対してドイツ地理学会は、「地理教育は単独でESDができる」という考えであり、地理教育も単独でのESDを志向しています。そのために、スタンダードなどでは①に叶うべく、コミュニケーションや評価、行為といった能力の育成を地理教育のなかに、明確に、位置づけました。と同時にコンピテンシー志向の地理学習を前面に打ち出しました。こうした"外的営力"に対する地理教育の変化に対して、地理教育界が積み上げてきた”内的営力”として、空間コンセプトは存在しているといえます。

「ESDにおいて地理教育は大きな役割を果たせる」という考えと、「地理教育はそれ自体、単体でESDがでできる」という考えを吟味するに当たり、ドイツの事例は参考になると思われます(続く)。