ドイツ地理教育関連
2018年10月4日・5日,ミュンスター大学
HGDシンポ 教員プロフェッションと教員養成の理論,実証,実験 ー教員次第だから
„Auf den/die Geographielehrer/in kommt es an“ - Lehrerprofessionalität und Lehrerbildung im Fokus von Theorie, Empirie und Praxis
Ryuta Yamamoto _ Human-Environment System, https://ci.nii.ac.jp/nrid/9000250472624
2012/07/20
ハノーファー大学 地理学のPR(情報整理)
「ハノーファー大学の地理教育講座が、「地理学のPR」というワ ークショップを開いています。世間に向けて地理学および地理科学 の成果や考えをアピールするに際して、「どのメディアを通じてど うPRするか」や「良いPRとは何か」を議論しているようです。 地理教育講座がこういう活動を先導しているということは、社会に おける地理教育の在り方のヒントになりそうです。」
http://www.didageo.uni-hannover.de/kontakt.html
http://www.didageo.uni-hannover.de/kontakt.html
2012/02/18
ドイツの地理教育 バイエルン州のとあるギムナジウムの事例
地理のプロファイル
地理履修学年:5,7,8,10,11,(12,13)
教科書:5,7年生はTerra(Klett社)、8,10年生はSeydlitz(Schroedel社)、11年生はMensch und Raum(Cornelsen社)
教科の目標:
空間における態度(Orientierung)、自然と環境への責任感、アイデンティティの確立・世界の世論・寛容、政治教育とグローバル化、問題解決型思考
カリキュラム:
・5年生: 地球の生成についての知識、地域・バイエルン・ドイツについての自然ファクター、地方と都市の空間構造とプロセス、「地域空間をルーペでみる」(eg.地域の農業)や「世界への扉」(eg.ラテン諸国の火山)などの学習を通じてグローバルな関連性を学び、知識を結びつける経験をする。地図の利用は情報活用モジュールにあたる。
・6年生:地理的な内容は新科目自然と技術でも取り扱われるが、レールプランG8の6年生段階では地理がでてこないことが、地理的な素養育成にとって損失となっている。
・7年生:ヨーロッパの多様な自然地理的特徴、自然の経済的利用の共通性と差異性、ヨーロッパにおける協働の必要性とチャンス、ヨーロッパ諸国に関するテーマ的地誌(年間レポート)。プロジェクト学習によってグループワークとプレゼンテーションを行う。
・8年生:熱帯・亜熱帯地方における発展途上国。日常テレビやメディアを通して知る知識を地理学習を通じて明らかにし、整理する。プロジェクト学習(東洋、ブラックアフリカ、ラテンアメリカ)を通じて、南北格差の原因と結果を考えるようになる。図表の判読が行われる。
・7年生、8年生は全員NationalGeographic Wissenに参加する。教育活動として大きな評価を得ている。
・10学年:アジア、アメリカ、ロシアの経済成長がどのような自然、経済、文化、政治の協働によって発展してきたのかを知る。発展途上国と先進国の結びつきをグローバリゼーションのもとで見直す。10年生にもなると抽象概念の理解や予備知識があるため、こうした学習が可能である。プロジェクト学習として、地理的な方法と教科横断的コンピテンシー(地図作業、衛星写真判読、気候ダイアグラム作成、外国語新聞の読解)を深めていく。
・11学年:地理ゾーン(Geozone)についての知識、エコシステムの構造・機能とその危機についての知識の獲得。グローバルな視点から、将来重要となる資源の貯蔵、利用、危機と保護について扱い、持続可能な発展の観点からディスカッションを行う。
・12学年:空間的な非均衡について様々なスケールレベルで分析する。ひとつの世界において、発展の差異を生む複雑な作用構造を取り扱うが、グローベルレベルと地域レベルの強い結びつきが意識されるようなテーマが取り扱われる。その際、現在から将来にわって非常に重要である人間―環境の関係が含まれてくる。この関係性は、理論に基づいた地理学的方法を用いて分析されるものである。この分析をより充実させるのにGISソフトウェアがある。
※基準となるレールプラン: レールプランG9、レールプランG8
・その他、エクスカーション(BMWやSiemensなどの企業やカタルーニャ地方など)を行なっていることや12・13年生は「変革のヨーロッパ」「巨大権力の比較」「途上国」「将来の地球」などのテーマで学習している。
2011/11/16
ドイツ地理学会 2009 高等教育における地理教員養成に関するフレームワーク
目次
まえがき
1.導入
2.未来志向の地理授業が抱える課題と目標
3.地理の教職課程に対する内容的要求
3.1 専門科学の資質
3.2 教科教育に関する資質
3.3 教育科学に関する資質
4.プロフェッショナルな地理の教員養成のための人員配置、設備、構造的な条件
5.結論
5.結論 の意訳
ドイツの大学で地理教員になりたいという学生を教員としてのプロに育て上げるためには、必要不可欠な資質である地理学の知識・技能、教科教育の知識・技能、教育科学の知識・技能を獲得できるような、就学機会が保証されるべきである。
以上のためには、特に三つの要求が、地理の教員養成を行う研究機関や学部に対して突きつけられる。
1.地理学および地球科学の領域やそこから派生する内容・方法に関して学ぶ授業などが提供されていて、かつ、それが学校実践の裏打ちとなるような、広範かつ専門的な養成
2.丁寧で、学生一人ひとりに合わせたケア保証するための、適切な人員配置(教授の数)による包括的な地理教育
3.地理の教授教材、学習教材の幅広い整備と、地理教育学習ワークショップおよび研究ワークショップ
上記のように構想された教職養成は、地理の教員志望者のプロフェッショナル化を促進するだけでなく、研究機関や学部の内部における地理教育の独自性、専門性をより先鋭化させる。さらには、社会の将来を考え、その発展を目指すような資質を獲得させるという教育目標に対して、地理が貢献できることが明確になる。
まえがき
1.導入
2.未来志向の地理授業が抱える課題と目標
3.地理の教職課程に対する内容的要求
3.1 専門科学の資質
3.2 教科教育に関する資質
3.3 教育科学に関する資質
4.プロフェッショナルな地理の教員養成のための人員配置、設備、構造的な条件
5.結論
5.結論 の意訳
ドイツの大学で地理教員になりたいという学生を教員としてのプロに育て上げるためには、必要不可欠な資質である地理学の知識・技能、教科教育の知識・技能、教育科学の知識・技能を獲得できるような、就学機会が保証されるべきである。
以上のためには、特に三つの要求が、地理の教員養成を行う研究機関や学部に対して突きつけられる。
1.地理学および地球科学の領域やそこから派生する内容・方法に関して学ぶ授業などが提供されていて、かつ、それが学校実践の裏打ちとなるような、広範かつ専門的な養成
2.丁寧で、学生一人ひとりに合わせたケア保証するための、適切な人員配置(教授の数)による包括的な地理教育
3.地理の教授教材、学習教材の幅広い整備と、地理教育学習ワークショップおよび研究ワークショップ
上記のように構想された教職養成は、地理の教員志望者のプロフェッショナル化を促進するだけでなく、研究機関や学部の内部における地理教育の独自性、専門性をより先鋭化させる。さらには、社会の将来を考え、その発展を目指すような資質を獲得させるという教育目標に対して、地理が貢献できることが明確になる。
2011/09/13
2011/04/23
日本の原発を受けたとあるドイツの教科書会社
最近は教科書会社もオンラインで教材配信の時代ですか。
ドイツでオンラインで教材が提供されていますが、先日、今回の”日本の震災”が
教材として提供されはじめました。中学から高校向けとされています。
http://bit.ly/gEEnuc
その内容は、
1. 日本の地震の発生要因について、地図(M1, M2)をみて説明する
2. 津波の成因を資料(M3)をみて説明する
3. 日本の矮小な国土と低地への資本集中、その文脈での福島原発に地震が襲い、放射能汚染の野菜や水が今日あることを踏まえ、
a) 日本がどれくらい原子力エネルギーからの脱却をはかるだろうか、M4を参照しつつディスカッションする
b) 3月15日のメルケルの7つの原発閉鎖と原発再考の声明に対して、多くの人たち(Viele Menschen)はそれを2011年の選挙を意識した、素早い政策転換であるとの見方を強めている。
「原子力エネルギー再開からの脱却はリスクを伴った転換である」という発言に対して、資料M5やインターネットを参照しながら、自分の意見を述べなさい(自分の立場を表明しなさい)。
ちなみに、参考資料として、
M1 日本:自然的リスク(日本地図スケール。海底地震が○、過去の陸震源域が●、季節風(台風)の移動方向→、活火山が噴火マーク、浸水頻発地帯=低地が灰色トーン、豪雪地帯が雪印、など)
M2 地震分布図(世界地図スケール。1900年以降の地震震源域がドットで示される。当然、日本にも集中している。)
M3 津波の成因(ドイツお得意のブロックモデル。逆断層モデルが超単純ではなく、あえて一段階だけ複雑化されていて、日本でも見たことないのでなんか複雑な心境。ドイツ人のブロックモデル魂を感じる)
M4 発電エネルギーの日独比較(円グラフ。日本はほとんど核エネルギー。ドイツは石炭、核、代替エネルギーがそれぞれ1/3くらいずつ)
M4(原文ママ。実質的なM5) ドイツの原発政策の転換―メルケルの計画延期(コラム。試作段階とかタブーはないとかのメルケルの発言が中心)
個人的な注目点としては、
自然地理的内容の理解をベースとしながら、その内容を矮小国土と資本の低地集中というクッションで原発に接続するあたりに、ドイツの人間―環境システム論の持ち味が発揮されています。きちんと内容的に接続しているような、しかしよくよく”学問的”に考えると話をずらされているだけのようなこの手法。ひとついえるのは、空間的には関連しあっています。
個人的にはここにドイツ人の持つ地理学観、つまり、地理的現象を人間が納得しやすいように提示するというドイツの地理学的センスをヒシヒシと感じます。
引き続いて、日本人が「地震慣れ」しているとか、情報が非常に鈍いとか指摘しつつ、それでも平静でいるような日本人像が描かれていますが、そのあたりもやっぱり基礎事実に基づきながら、多分に推測を含みつつ結局はドイツ人的判断に沿うようにうまく描かれていると思います。ちなみに僕自身は地理学的(風土論的)判断寄りで、ドイツ人的判断にも近く、日本人の「慣れ」の正体を見た気がします。
3. a)の日本人が原発をやめるか、という問いへの解答例として、
「日本人は原発を断念する可能性に関しては、非常に低いだろう」と書かれていて、
「ニュースを見る限り、日本人は原発に対して批判的でもネガティブでもなくみえる」という主観と、
「(M4のグラフを指して)日本のエネルギーの3/4が原発に頼っている」という”客観的”データ、
「日本はエネルギー資源がなく、代替エネルギーでは産業がまかなえない」で一本、となっています。
この辺りは地理というより、相手を納得させるストラテジーの問題かと思います。
ドイツ人ってよく喋るなぁと感じることと同根だと思われます。
感想として、
この教材で授業をすると、まず、なんでこんなところに原発を作ったんだという日本の空間的構造の無頓着さに目がテンになって、でもそれでも日本人は産業を重視していて原発はやめないんだろうという推理が働き、そのうえで自国ドイツを鑑みると、エネルギー確保の問題は日本とは別種だが、しかし転換期を迎えていて・・・しかも反原発の政治利用についても考えなければ、とまさに盛りだくさんの内容です。
ただ、資料を駆使することで、単なるオープンエンドを迎えないところを、日本は学ぶ必要があるのかもしれません。そうした合理的な話し合いを日本人が好むかどうかは別の話ですが。
「みんな、がんばろう」とかの方が、胸にジーンと来ますよね。 たぶん。
原発事故後のドイツ人の様子はハイデルベルクの宇野さんがたくさん報じていらっしゃいます。
ブログにもあるかなぁ。facebookにはたくさんありましたが。
http://fachwerk.exblog.jp/
ドイツでオンラインで教材が提供されていますが、先日、今回の”日本の震災”が
教材として提供されはじめました。中学から高校向けとされています。
http://bit.ly/gEEnuc
その内容は、
1. 日本の地震の発生要因について、地図(M1, M2)をみて説明する
2. 津波の成因を資料(M3)をみて説明する
3. 日本の矮小な国土と低地への資本集中、その文脈での福島原発に地震が襲い、放射能汚染の野菜や水が今日あることを踏まえ、
a) 日本がどれくらい原子力エネルギーからの脱却をはかるだろうか、M4を参照しつつディスカッションする
b) 3月15日のメルケルの7つの原発閉鎖と原発再考の声明に対して、多くの人たち(Viele Menschen)はそれを2011年の選挙を意識した、素早い政策転換であるとの見方を強めている。
「原子力エネルギー再開からの脱却はリスクを伴った転換である」という発言に対して、資料M5やインターネットを参照しながら、自分の意見を述べなさい(自分の立場を表明しなさい)。
ちなみに、参考資料として、
M1 日本:自然的リスク(日本地図スケール。海底地震が○、過去の陸震源域が●、季節風(台風)の移動方向→、活火山が噴火マーク、浸水頻発地帯=低地が灰色トーン、豪雪地帯が雪印、など)
M2 地震分布図(世界地図スケール。1900年以降の地震震源域がドットで示される。当然、日本にも集中している。)
M3 津波の成因(ドイツお得意のブロックモデル。逆断層モデルが超単純ではなく、あえて一段階だけ複雑化されていて、日本でも見たことないのでなんか複雑な心境。ドイツ人のブロックモデル魂を感じる)
M4 発電エネルギーの日独比較(円グラフ。日本はほとんど核エネルギー。ドイツは石炭、核、代替エネルギーがそれぞれ1/3くらいずつ)
M4(原文ママ。実質的なM5) ドイツの原発政策の転換―メルケルの計画延期(コラム。試作段階とかタブーはないとかのメルケルの発言が中心)
個人的な注目点としては、
自然地理的内容の理解をベースとしながら、その内容を矮小国土と資本の低地集中というクッションで原発に接続するあたりに、ドイツの人間―環境システム論の持ち味が発揮されています。きちんと内容的に接続しているような、しかしよくよく”学問的”に考えると話をずらされているだけのようなこの手法。ひとついえるのは、空間的には関連しあっています。
個人的にはここにドイツ人の持つ地理学観、つまり、地理的現象を人間が納得しやすいように提示するというドイツの地理学的センスをヒシヒシと感じます。
引き続いて、日本人が「地震慣れ」しているとか、情報が非常に鈍いとか指摘しつつ、それでも平静でいるような日本人像が描かれていますが、そのあたりもやっぱり基礎事実に基づきながら、多分に推測を含みつつ結局はドイツ人的判断に沿うようにうまく描かれていると思います。ちなみに僕自身は地理学的(風土論的)判断寄りで、ドイツ人的判断にも近く、日本人の「慣れ」の正体を見た気がします。
3. a)の日本人が原発をやめるか、という問いへの解答例として、
「日本人は原発を断念する可能性に関しては、非常に低いだろう」と書かれていて、
「ニュースを見る限り、日本人は原発に対して批判的でもネガティブでもなくみえる」という主観と、
「(M4のグラフを指して)日本のエネルギーの3/4が原発に頼っている」という”客観的”データ、
「日本はエネルギー資源がなく、代替エネルギーでは産業がまかなえない」で一本、となっています。
この辺りは地理というより、相手を納得させるストラテジーの問題かと思います。
ドイツ人ってよく喋るなぁと感じることと同根だと思われます。
感想として、
この教材で授業をすると、まず、なんでこんなところに原発を作ったんだという日本の空間的構造の無頓着さに目がテンになって、でもそれでも日本人は産業を重視していて原発はやめないんだろうという推理が働き、そのうえで自国ドイツを鑑みると、エネルギー確保の問題は日本とは別種だが、しかし転換期を迎えていて・・・しかも反原発の政治利用についても考えなければ、とまさに盛りだくさんの内容です。
ただ、資料を駆使することで、単なるオープンエンドを迎えないところを、日本は学ぶ必要があるのかもしれません。そうした合理的な話し合いを日本人が好むかどうかは別の話ですが。
「みんな、がんばろう」とかの方が、胸にジーンと来ますよね。 たぶん。
原発事故後のドイツ人の様子はハイデルベルクの宇野さんがたくさん報じていらっしゃいます。
ブログにもあるかなぁ。facebookにはたくさんありましたが。
http://fachwerk.exblog.jp/
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