2018/04/07

「保全って目標がないとしんどくて、本来の生態系がどうだったのかを知るのはそういう意味で大切です。例えば、生態系の回復プロジェクトとしてやっている聟島(むこじま)列島での実践を通して、外来のヤギを駆除するとどういう海鳥が戻ってくるか、ネズミを駆除するとどうかといったことが分かってきているんですけど、かといってすでに絶滅した種もいますし環境も変わってしまっているので完全に元通りには出来ません。だとしたら、そこに出来ている生態系がちゃんと本来持っていた機能が揃っていて、今、絶滅せずに残っている在来の生物たちが維持できるのであれば、次善の策としてオリジナルの状態でなくともいいと思うんですよね。でも、リファレンスとしてオリジナルを知らないと、目指すべき状態になっているのか判断できないですよね」

「昔はもう無我夢中で、例えば『とりあえずヤギが希少な植物を食べてるから問題だ。だからヤギを駆除しよう』っていうレベルでやっていたわけです。でも、実際にやってみると、ヤギがいなくなると生えてきたのは外来植物だったと。だから、今ではヤギを駆除するためには、先にその外来植物を駆除しなきゃいけないですとか。とはいえヤギが食べて裸地になったところはヤギを取り除いても元には戻らず、土壌が流出してしまいます。岩盤が露出して、もしも自然にまかせたら、新しい土壌ができて元に戻るまで数万年はかかるねって話になりますよね。その間に、土壌動物は生息地を失って絶滅していきます。だから今度は土壌流出を止める手立てが必要です。駆除をすると同時にやらなければならないことがたくさんあって、これまでは応急処置的に対応してきたんですが、今はどんな場合に何が起きるか、かなり見えてきているとは思います」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/227278/030800122/?P=2