Ryuta Yamamoto _ Human-Environment System, https://ci.nii.ac.jp/nrid/9000250472624
2012/05/09
人間―環境システム FK
今から3000年前にはすでに、シュメール人、バビロニア人、フェニキア人による、人間と環境の関係(Mensch-Umwelt-Verhätnis)に関する地理学的な記述や地図が知られている。その後エラトステネスによる地球円周の算出、ヒポクラティスによる最初の地球投映法、ストラボンやプトレマイオスによる地理的なメモリアルワークが知られている。18世紀になると百科事典的な知識が収集され、こうした記述を中心とする段階が19世紀まで続いた。19世紀半ばになるとフンボルトの探検とその記述によって近代地理学が生まれる。続くカールリッターが地理学を創設し、リヒトホーフェンやラッツェルによって専門化が進んだが、当時のアプローチは因果研究に関するもので、人類地理学における中心は、人間―空間関係(Mensch-Raum-Beziehung)であり、空間が人間に与える作用を過大評価しすぎる傾向があり、地理決定論(Geodeterminismus)と解されることがあった(ただし、今の決定論と可能論はどちらもこの時代の研究に端を発しているという見方が主流)。ちなみに当時の自然地理はといえば、空間的知識の把握に留まらず、その空間を形成する各種の営力やプロセス、法則をも対象としていた。
その後、自然地理は圏という領域区分を用いた。また、WW2までそこでは地形学が中心であった。人類地理(人文地理)では、居住地理が支配的であったが、戦後社会地理が台頭。こうした発展の中で、常にその収斂する方向、つまり地理学としての統一性というものが問われていた。
その統一性を巡る議論は、1960年代まではヘットナーの地誌学が中心であって、その後は、ハゲットなどのような、空間―時間カテゴリーを導入したシステム研究(Systemforschung)が強められていった。しかしグローバリゼーションと環境変動が社会の関心となることによって、地理学の統一的対象は新たに、景観(Landschaft)とされた。景観は、歴史的に発展した人間―環境システム(Mensch-Umwelt-System)として見なされており、それは、時間の経過において、つまり将来をも含んで、あるプロセスに従属するシステムであるとされる。現実景観(Realität Landschaft)のために、地理学は全体アプローチ、ホリスティックアプローチを採った。そうした自然科学的かつ社会科学的な課題設定は、地理学に対して非常に有利に働き、地理学の持つ人間―環境システムに関する統一的でホリスティックなアプローチは、多くの科学者から環境科学における鍵学問として見なされることとなった。ちなみに、こうした地理学を領域横断的な中心的学問として見なす考えは、18世紀のヘルダーがすでに指摘している。FK